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アルバイトには休業手当は不要?休業手当ポイントをおさらい

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休業手当の支払いを求めて、アルバイトが飲食店チェーンに対して調停を申し立てたというニュースがありました。

緊急事態宣言の延長が決定し、雇用調整助成金の特例措置延長や大企業への休業支援金・給付金の支払いが検討される等、雇用情勢の悪化に対する支援については引き続き検討されていますが、まだまだこのような労務トラブルは続くのではないかと懸念されます。その背景、内容について解説をします。

1.休業手当の支払義務とは?
2.テナント休業=休業手当支払い不要?
3.休業手当の支払率は変えていい?
4.まとめ

■休業手当の支払義務とは?

休業手当支払義務は労働基準法に定められており、会社の責任や都合によって従業員に休業をさせる場合には、最低限の生活保障として休業手当(平均賃金の60%以上)を従業員に支払わなければなりません。

例外として、休業が会社の責任や都合によるものではなく、「不可抗力によるもの」である場合は休業手当支払義務がないとされますが、休業が「不可抗力によるもの」であるかは厳しく判断をされます。

今さら聞けない!?休業手当支払義務の落とし穴

■テナント休業=休業手当支払い不要?

冒頭にご紹介したニュースのケースでは、次のような状況となっていたようです。

・2020年4月の緊急事態宣言により、店舗が入居する商業施設が休業となったことで、店舗も5月末まで休業とした

・シフトが入っていた分は休業手当が支払われたが、シフトが入っていなかった分は休業手当が支払われなかった

・正社員には休業手当が100%支払われていた

上記のように休業が「不可抗力によるもの」であるかどうかは厳しく判断をされるため、入居するテナントの休業=休業は不可抗力として認められるということにはなりません。事業に占めるテナント営業の割合はどれくらいか、他の店舗への異動や代替手段の可能性等、総合的に勘案されて判断をされます。

また「シフトが確定していなかったので休業ではない(もともと休みだった)」という論点も注意が必要です。シフトが決まっていなかったとしても、雇用契約で決められた所定労働日数や時間はあったのか、労働実態として確約されたものはなかったのかというような点も考慮されます。

■休業手当の支払率は変えていい?

労働基準法では、休業手当は平均賃金の60%以上と定められていますが、この支払率を変えている場合も気を付けなければなりません。

正社員には平均賃金100%の休業手当を支払っているが、パートやアルバイトには平均賃金60%しか支払っていないというような場合、同一労働同一賃金の考えに抵触する可能性があります。実は新型コロナウイルス感染拡大当初よりこのような懸念はされており、雇用調整助成金のQAにおいても次のような回答がされていました。

Q:非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)の休業手当の支払い率を正社員より低く定めることは、同一労働同一賃金の考え方に反しないでしょうか。
A:法定以上の休業手当の支払い率(平均賃金の6割以上)を定める場合に、非正規雇用であることのみを理由に、一律に正社員より低い休業手当の支払い率を定めることは、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を目指して改正されたパートタイム・有期雇用労働法及び労働者派遣法の規定に違反する可能性があります。

■まとめ

休業手当の支払う対象者や範囲は妥当であるのか、休業手当の支払い率や金額は適正だったのかという点に不安がある場合、過去に遡って従業員から休業手当支払いを求められてしまうかもしれません。改めてポイントを確認しておきましょう。

大企業への休業支援金・給付金の拡大が予定されていますが、従業員の雇用維持の責任は会社にあります。休業手当や雇用調整助成金等の支援制度を正しく理解いただき、活用いただきたいと思います。もし今までの運用や制度検討にご不安があれば、お早めにご相談ください。

 

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