1. HOME
  2. ブログ
  3. 社会保険
  4. 海外居住の外国人リモートワーカーを雇った際の社会保険・労働保険の扱いに関して

BUSINESS COLUMN

ビジネスコラム

社会保険

海外居住の外国人リモートワーカーを雇った際の社会保険・労働保険の扱いに関して

社会保険

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、場所に縛られない多様な働き方が広がっています。全く会社に出勤しない、「フルリモート」という働き方を耳にする機会も増えてきました。本稿では、海外に居住する外国人をフルリモートで雇用した場合の社会保険・労働保険の扱いに関して解説します。

1.社会保険
2.労災保険
3.雇用保険
4.まとめ

■社会保険

以下の要件をすべて満たしている場合、日本の社会保険に加入します。

①日本法人と雇用契約を結んでいる
②日本法人より指揮命令を受けて仕事をしている
③日本法人から給与が支払われている

仮にリモートワーカーが居住する国に現地法人がある場合でも、日本法人と雇用契約があり、給与も日本法人から支払われている場合は、日本の社会保険に加入します。
社会保険に加入する際は、基礎年金番号またはマイナンバーの情報が必要になります。日本に居住歴のない外国人は、基礎年金番号やマイナンバーを持っていません。この場合、パスポートの写し(翻訳も必要)の他、日本法人が雇用していることが分かる証明書(雇用契約書・入社書類など)を代わりに提出する必要があります。

1.健康保険の注意点

風邪などで病院にかかった際、海外での医療費を全額実費で支払ったのち、海外療養費の制度を使って還付請求をすることが可能です。ただし、還付される金額は日本国内の療養費を基準に算定されるため、必ずしも現地で支払った額の7~8割が還付される訳ではない点に注意が必要です。あらかじめ本人に伝えておきましょう。

2.介護保険の注意点

介護保険は、日本国内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者が対象となります。採用時に介護保険加入対象年齢に到達していた場合でも、社員が日本に住んでいない場合は介護保険の対象となりません。その場合、管轄の年金事務所に介護保険非該当届を出す必要があります。給料計算の際にも、誤って介護保険料を徴収しないように注意が必要です。

介護保険の被保険者から外れるまたは被保険者になるための手続き

3.厚生年金保険

日本の厚生年金保険に加入するのが原則ですので、外国人リモートワーカーが既に現地の年金保険に加入している場合は、二重で加入することになります。しかし、居住している国が日本と社会保障協定を結んでいる場合、日本の社会保険への加入を免除できるルールがあります。厚生年金保険のみが免除対象の国の他、健康保険も免除対象となっている国など、対象国によって内容が異なるため、国ごとにチェックする必要があります。

日本年金機構 社会保障協定

外国人を雇用した場合、ローマ字氏名の登録も必要となりますので注意しましょう。

厚生年金被保険者 ローマ字氏名届

■労災保険

海外居住のリモートワーカーは、以下の要件をすべて満たす場合には所属する日本国内の事業場の労災保険給付を受けることができます。特別な対応は必要ありません。なおこの要件は、先述の社会保険の要件と同じです。

①日本法人と雇用契約を結んでいる
②日本法人より指揮命令を受けて仕事をしている
③日本法人から給与が支払われている

■雇用保険

社会保険・労災保険同様に、日本法人と雇用契約を結んでいて日本法人から給与が支払われている場合は、雇用保険に加入します。パート・アルバイトでも、31日以上の雇用見込みがあり、週の所定労働時間が20時間以上ある場合、雇用保険に加入します。
通常、外国人の雇用保険資格取得手続きを行う際は、在留カードに記載されている情報が必要です。日本に滞在歴の無い方は在留資格や在留カードを持っていないため、雇用契約書(日本法人と雇用契約があることがわかるもの)やパスポートの写し等を代わりに提出します。
後日、外国人リモートワーカーが来日して、日本国内で仕事を始める場合は就労資格が必要です。就労資格を取得したうえで、在留カードに記載されている情報を追加で提出する必要があります。

リモートワーカーを雇用した場合、在宅勤務雇用実態証明書を求められることもあります。

和歌山労働局 在宅勤務雇用実態証明書

■まとめ

働き方改革に加えて新型コロナウイルス感染症の影響も重なり、海外居住の方たちへも多様な働き方は広がっていくと思われます。通常の手続きとの違いを理解したうえで、正しい手続きを行いましょう。

 

 

 

 

 

関連記事