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男性育休の義務化はいつから始まる?閣議決定の内容を解説!

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令和3年2月26日、政府は育児・介護休業法の改正案を閣議決定しました。内容については昨年の9月から労働政策審議会が審議を続けていたもので、男性の育児休業取得促進策が主となります。今国会での可決を目指しており、予定通り進めば早いものは令和4年4月1日から施行される見通しです。本稿では閣議決定された改正案のうち、男性の育児休業の取得促進策に関してまとめます。

なお男性育休の取得推進策については過去の弊コラムでも取り上げています。
義務化?どのような内容になる?男性の育児休業取得促進

1.男性育休の現状について
2.出生時育児休業の新設
3.有期契約社員の取得要件の緩和
4.企業に課される義務
5.くるみん制度への影響
6.助成金の活用
7.まとめ

■男性育休の現状について

男性の育児休業取得率は、令和元年時点で7.48%にとどまっています。女性の取得率83%と比較しても、制度が現場に浸透していない現状があります。育児休業の取得を希望しても取得できなかった男性の割合も約4割となっており、取得しても約8割がその期間について1か⽉未満という数字が出ています。

■出生時育児休業の新設

今回の改正案では、男性が子の出生後8週のうちに最大4週間の育児休業が取得できる制度の新設が盛り込まれています。出生時育児休業という名称がつけられ、令和4年10月頃の施行が想定されています。以前弊コラムでも取り上げていますが、出生時育児休業は休業期間4週間を上限に、2回に分けた取得が可能となります。例えば出産直後と、奥様が里帰りから戻るタイミング等でそれぞれ休業をすることができるため、出産直後の奥様を支えるためのより実用的な制度になる見通しです。なお出生時育児休業を取得した場合であっても、その後通常の育児休業を取得することが可能です。

■有期契約社員の取得要件の緩和

現行の法律では、有期契約社員が育児休業を取得するためには引き続き雇⽤された期間が1年以上あることが要件でした。今回の見直しでこの要件の撤廃が定められています。入社間もない有期契約社員が育児休業の対象となるため、実務上注意が必要です。
一方で労使協定を締結することで、引き続き雇用された期間が1年未満の社員を育児休業の対象から除外することは現行通り可能です。自社の状況を鑑みて、事前に対応を検討しておくといいでしょう。

■企業に課される義務

1.職場環境の整備と個別に働きかける義務

新制度および現行の育児休業を取得しやすい職場環境の整備が事業主に義務付けられる見通しです。また、本人又は配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対して、個別に育児休業の周知と取得の働きかけをすることについても事業主に義務付けられる見通しです。働きかけについては今まで努力義務となっていました。規模に関係なく全ての企業が対象になるため、今まで社内で育児休業の前例がない少人数の企業等であっても、育児休業の取得を促す措置が必須となります。

2.公表義務

常時雇用する労働者数が1000⼈を超える⼤企業については、男性の育児休業等取得率または育児休業および育児⽬的休暇の取得率の公表が義務付けられる規程が盛り込まれています。本規定が予定通り令和4年4月1日に施行された場合、令和4年4月から男性の育児休業等取得率のカウントをはじめ、令和5年4月以降に公表することになります。今年度のうちに男性が育児休業を取得しやすい環境を整えておくことが必要になります。

■くるみん制度への影響

くるみんとは、仕事と育児の両立支援に取り組んでいる企業が基準を満たした場合、子育てサポート企業として厚生労働大臣に認定を受けることができる認定制度です。くるみんの他、更に厳しい基準を満たした場合に認定されるプラチナくるみんの2種類があります。認定を受けた企業は、くるみんマークを商品や求人広告などに利用できるなど社内外にアピールできる他、公共調達の際に認定企業には加点評価を受けられるなどメリットを享受できます。近年注目が高まり、取得企業が年々増加しています。今回の改正案に伴い、認定基準がいくつか引き上げられる見通しです。

1.認定基準見直しの主な内容

プラチナくるみんについては、男性の育児休業等取得率について現行の「13%以上」から「30%以上」に引き上げられる見通しです。くるみんについては、同取得率について現行の「7%以上」から「10%以上」に引き上げられる予定となっています。

※2021年9月24日更新
くるみん、プラチナくるみんの認定基準見直しについて、改正省令に対するパブリックコメントの募集が行われています。
次世代育成支援対策推進法施行規則の一部を改正する省令案について(概要)
●認定基準の見直し
・男性の育児休業等取得率
くるみん:「7%以上」→「10%以上」
プラチナくるみん:「13%以上」→「30%以上」
・育児目的休暇制度の利用割合
くるみん:「15%以上」→「20%以上」
プラチナくるみん:「30%以上」→「50%以上」
●トライくるみん認定の創設
●不妊治療と仕事との両立に関する認定基準を追加した新たな類型の創設

2.プラチナくるみんの取り消し

認定基準について同じ項目を2回連続で未達成の場合は、プラチナくるみん認定取り消しの対象となります。今回の改定で見直される認定基準についても取消の対象となり得るため、既に取得済みの企業は対応が急がれます。ただ猶予制度として施行から1年間は基準未達成でも取消の事由には数えないこととすることが検討されています。

■助成金の活用

男性の育児休業取得促進のため、厚生労働省が男性の育児休業取得に関する助成金を用意しています。

両立支援等助成金_出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りに会社が取り組み、一定の要件を満たした形で男性が育児休業を取得した場合に助成されます。
要件が分かりやすく、特に中小企業は要件のハードルが低いため、本助成金に取り組みながら男性の育児休業に備えるというのも一つの策です。
弊社では男性育休に関する助成金の申請代行サービスも行っています。

産休・育休パックのご案内
男性育休助成金のご案内
男性育休に関する助成金についてまとめたYouTube動画もご覧ください↓
【YouTube】男性育休に使える助成金について

■まとめ

コロナ禍でイレギュラーな雇⽤調整が増えているなど厳しい状況ではありますが、属⼈的な業務の見直しや人員配置の再検討など、男性労働者が育休を取得しても負担が最⼩限になるような職場環境を今から整えていくことが必要だと思います。 また労働政策審議会の中でも触れられていますが、本改正によって今後男性の育児休業制度が複雑になります。現場は多くの改正点の対応に追われることが予想されるため、今後の動向に注視し、余裕を持って取り組んでいきましょう。

こちらも動画もご参考ください↓
【YouTube】産休・育休の手続きについて

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