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2020年副業・兼業のガイドライン改定!新しい労働時間管理方法を解説

働き方改革

副業・兼業は労働人口の確保や従業員の多様なキャリア形成のメリットがあるとして、2018年に副業・兼業の促進に関するガイドラインが作成され、働き方改革として推進されています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、テレワークや新しい働き方に変わっていく中で、2020年9月に副業・兼業の促進に関するガイドラインが改定されました。新しいガイドラインでは何が変わったのでしょうか?

1.副業・兼業の促進に関するガイドラインの改定
2.今までの労働時間管理方法
3.新しい簡便な労働時間管理の方法
4.まとめ

YouTube動画でも解説をしています↓
【YouTube】副業兼業の注意点について

■副業・兼業の促進に関するガイドラインの改定

新しいガイドラインでは改めて副業・兼業は従業員にも会社側にもメリットがあり、原則認める方向にすることが適当と前置きした上で、安全配慮義務、秘密保持義務、競業避止義務といった副業・兼業を認める場合の留意点について示しています。

副業・兼業の促進に関するガイドライン

その中で注目を集めているのは、労働時間管理の考え方です。

■今までの労働時間管理方法

労働基準法第38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めており、さらに通達(昭和23年5月14日基発第769号)により「事業場を異にする場合」とは事業主を異なる場合を含む、とされています。副業・兼業の場合の労働時間管理は、これらの規定により全ての事業場の労働時間を通算することが求められていました。
様々なシステムやICTが発展している現在ではありますが、労働者の全ての事業所の労働時間を把握し、通算して割増賃金の計算を行うというのは事務処理に負担がかかり、副業・兼業の推進を阻害する要因ともなっていました。

■新しい簡便な労働時間管理の方法

そこで新しいガイドラインでは、労働時間の通算管理における労使双方の負担を軽減し、法律で求められる最低条件が遵守されるように労働時間管理の管理モデルが示されました。

管理モデルとは、従来の労働時間を通算する管理方法ではなく、あらかじめ全ての事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定し、それぞれの労働時間範囲内で労働をさせることで、自らの事業場以外の他の事業場における実労働時間の把握をしなくとも、法律を遵守できるようにする管理方法です。これにより使用者は、自らの事業場における労働時間について36協定で定める延長時間を守り、割増賃金を支払うこととなります。

副業・兼業の開始前に労働時間の上限について設定を行うことで労働者個人の労働時間把握や通算が不要となるという点では、手続きの負担減少の効果はあるものと考えられます。ただしそもそもの労働時間の上限設定のために、どのように副業・兼業の有無や他の事業場の労働時間を確認するか、その確認方法や頻度についても就業規則等の整備が重要です。また管理モデルが適正に運用されるために、労働時間上限を超えないように実労働時間の把握をしっかり行う、労働時間上限にあわせて社会保険手続きも適正に行う等、より一層労務管理も厳しく行わなければなりません。新しい管理モデルを取り入れていくためには、労務管理体制の整備も不可欠です。

■まとめ

副業・兼業の促進に関するガイドラインの改定にあわせて、副業・兼業が一般化する新しい働き方がさらに定着していく可能性があります。労働時間管理方法以外にも、新しいガイドラインの内容を確認し、副業・兼業を採用や従業員のキャリア形成に役立てていくことが重要になるでしょう。

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