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2021年コーポレートガバナンス・コード改訂!人事労務に求められる実務対応とは

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2021年6月11日、東京証券取引所は改訂コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)を公表しました。2022年4月には東京証券取引市場の再編が予定されておりますが、どの新市場区分を選択するかによって、コーポレートガバナンス・コードの適用範囲が異なります。本稿では、改訂コーポレートガバナンス・コードを人事労務に与える影響を交えて紹介します。

1.東京証券取引市場の新市場区分
2.改訂コーポレートガバナンス・コードの特長
3.人事労務に影響を与える改訂内容
4.改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応
5.まとめ

■東京証券取引市場の新市場区分

2022年4月より、東京証券取引市場は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つの区分に再編されます。

現状 市場再編後(2022年4月~)
東証1部 プライム
東証2部 スタンダード
JASDAQ グロース
マザーズ

 

■改訂コーポレートガバナンス・コードの特長

今回の改訂では、4つの原則と13の補充原則について、改訂や追加が行われました。コロナ禍を契機とした企業を取り巻く環境の変化の下で新たな成長を実現するには、各企業が課題を認識し変化を先取りすることが求められるとし、持続的成長と中長期的な企業価値の向上の実現に向け、「取締役会の機能発揮」「企業の中核的人材の多様性の確保」「サステナビリティを巡る課題への取組み」を重要課題として挙げています。

JPX コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)

■人事労務に影響を与える改訂内容

改訂コーポレートガバナンス・コードの内、基本原則「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」について、人事労務に影響を与える改訂が盛り込まれています。

【原則2-3. 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】
上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について、適切な対応を行うべきである。

補充原則では、取締役会はサステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべきとし、その課題として「従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇」が追加され、中長期的な企業価値の向上のため、従業員の健康や労働環境整備が必要となっていることがよく分かります。
2021年4月より中小企業も義務化となった同一労働同一賃金、注目されている健康経営についても、積極的に取り組んでいきましょう。

※過去コラムもご覧ください↓
2021年4月から中小企業にも義務化!同一労働同一賃金対策の現状
健康経営の取り組みが偏差値として数値化!IPOにも有効な健康経営

【原則2-4. 女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】
上場会社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保を推進すべきである。

補充原則が追加され、上場会社は女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、状況を開示すべきである、としています。
2022年4月から施行される改正女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の企業も一般事業主行動計画策定・届出が必要となり、2021年4月からは常時雇用する労働者が301人以上の企業は、中途採用比率の公表が義務化されました。上場会社は多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきとされ、管理職への登用や採用比率等、より多様性確保のための取組みが重要となるでしょう。

※YouTube動画でも解説しています↓
【YouTube】令和3年4月1日改正中途採用比率の公表義務化について

■改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応

改訂コーポレートガバナンス・コードに対応した、コーポレートガバナンスに関する報告書の提出期限は、遅くとも2021年12月末とされています。新市場区分において、プライムやスタンダード市場を選択する企業は、コーポレートガバナンス・コードの全原則について、原則を実施するか、実施しない理由を説明するか(コンプライ・オア・エクスプレイン)を行わなければなりません。また現在はコーポレートガバナンス・コードの基本原則のみが対象となっているJASDAQまたはマザーズに上場する企業が、プライム若しくはスタンダード市場を選択する場合は、対象範囲が全原則に広がります。対象範囲が大きく広がりますので、早急な対応が必要となります。

■まとめ

公表された改訂コーポレートガバナンス・コードとその対応について紹介しました。新市場区分においてプライムやスタンダード市場を目指すためには、早急な対応が必要となるとともに、高いレベルのガバナンス水準を意識する必要があります。女性活躍推進や中途採用等、現状も課題として取り組まれている内容についても、より意識して取り組んでいきましょう。

改訂CGコードも意識した、戦略的人事戦略の推進に関するお問い合わせはこちら

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