1. HOME
  2. ブログ
  3. 社会保険
  4. 2022年から短時間労働者への社会保険適用拡大!改正内容と取り組むべきこと

BUSINESS COLUMN

ビジネスコラム

社会保険

2022年から短時間労働者への社会保険適用拡大!改正内容と取り組むべきこと

社会保険

2016年10月から、従業員が常時500人を超える事業所を特定適用事業所とし、特定適用事業所に勤務する一定の要件を満たす短時間労働者は、社会保険の適用対象となりました。2020年5月に成立した年金制度改正法には「被用者保険の適用拡大」が盛り込まれ、2022年10月からは従業員が常時100人を超える事業所、さらに2024年10月以降は従業員が常時50人を超える事業所に勤務する短時間労働者も社会保険の適用対象となります。本稿では、社会保険の適用拡大に関する法改正の内容と、企業が取り組まなければならないことについて解説します。

↓YouTube動画でも解説しています!
【YouTube】【2022年10月から段階的に義務化!】社会保険の適用拡大について

■短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の概要

健康保険や厚生年金の被保険者となることができる範囲は法律で決められており、短時間労働者は適用対象外となってしまうことが多くありました。働く人が働きやすい環境を整えるとともに、短時間労働者について年金等の保障を充実させるため、被用者保険(年金・医療)の適用拡大を進めていくことが重要という考えのもと、法改正が進められています。

2016年10月からは、従業員が常時500人を超える企業で月収8万円以上等の要件を満たす短時間労働者に適用拡大されました。2017年4月からは従業員が常時500人以下の企業であっても、労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用拡大が可能となりました。そして2020年に成立した法改正では、段階的に短時間労働者への適用拡大が進められ、最終的には従業員が常時50人を超える企業まで、適用範囲が拡大されます。

※500人超(現行)→100人超(2022年10月)→50人超(2024年10月)

■改正内容について

詳しい法改正の内容は次の通りです。

1.企業規模要件について

特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、社会保険の適用対象となります。特定適用事業所の適用基準は、同一事業主(法人番号が同一)の社会保険適用事業所の被保険者数(フルタイムの労働者や、1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上の労働者を指します)の合計が、1年間のうち6ヶ月以上、500人を超えた場合に対象となります。これが法改正により、2022年10月からは100人、2024年10月からは50人を超えた場合に対象となります。

2.2ヶ月超え要件について

短時間労働者が社会保険の適用対象となるためには、1年以上の勤務期間が見込まれることが必要、という要件があります。この要件が2022年10月に撤廃され、フルタイムの労働者等と同様の要件が適用されます。従って法改正後は、「2ヶ月を超えて使用されることが見込まれる」場合、短時間労働者も社会保険の適用対象となります。
仮に雇用契約期間の定めが2ヶ月以内であっても、「就業規則や雇用契約書において、契約が更新される旨又は更新される場合がある旨が明示されている」、「同一の事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されているものが、更新等により2ヶ月を超えて雇用された実績がある」といったいずれかの事情があれば、「2ヶ月を超えた使用が見込まれる」として、雇用契約期間の当初から社会保険の適用対象となります。

■準備しておくこと、取り組むべきこと

短時間労働者への社会保険適用拡大が開始された2016年と同様に、法改正施行のタイミングに合わせて、日本年金機構から事業所向けに案内が送られることになる見込みです。新しい基準での特定適用事業所に該当する場合には、「特定適用事業所該当届」+「短時間労働者として該当した従業員の被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出します。今から企業は準次のような準備に取り組むべきでしょう。

1.適用対象者の把握

新しく短時間労働者として社会保険の適用対象となる従業員がいるかどうか把握をしましょう。就業規則、雇用契約書、賃金台帳や出勤簿の書類を確認します。

2.社内周知

社会保険の適用対象となる従業員の方に、法改正の内容を伝えましょう。その際に社会保険加入のメリットもあわせて伝えると良いでしょう。配偶者の扶養家族扱いとなっている場合の注意点についてもお伝えしておきます。周知の方法については、説明会を開く、イントラネット、メール等を活用する方法があります。

3.書類作成の準備

従業員数100人を超える企業に対し、2022年8月頃に日本年金機構から新たに社会保険適用拡大の対象となることを知らせる通知書類が届く予定です。被保険者資格取得届の作成に向けて、対象者の基礎年金番号、個人番号等等を収集しておくとよいでしょう。

社会保険の適用対象となる範囲が拡大することによって、企業としては法定福利費が増加することになり、従業員からは社会保険の適用範囲を考慮して、労働条件の見直しを求められることがあるかもしれません。法改正による新しい基準を理解し、しっかりと準備に取り組みましょう。

■まとめ

短時間労働者に対する社会保険の適用拡大の内容と、それに対する企業として取り組むべきことについて解説しました。適正な労務管理ができるよう、適用拡大への対応方針や、従業員への説明、個別のサポート、手続きなど、早めに準備をしておくことが必要です。

過去のコラムでも社会保険手続きの注意点、助成金を紹介しています↓
意外な落とし穴も?社会保険の手続きの注意点

関連記事