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最新の労務事情から見る、IPOで求められるリスクマネジメント

           
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2022年4月から東京証券取引市場の再編が予定されており、コーポレート・ガバナンスコードも改訂されます。市場再編後の新区分において、特に「プライム市場」を目指すためにはより高いレベルのガバナンス水準が求められることになります。最新の労務事情から、IPOで求められるリスクマネジメントのポイントを解説します。

1.適正な労働時間把握・管理
2.従業員フリーランス化のメリットは
3.フリーランス保護のためのガイドラインが公表された
4.まとめ

■適正な労働時間把握・管理

労働時間を適切に把握し管理することは、引き続きIPOにおいて重要なポイントとなっています。労働時間把握や管理が疎かになっている場合、未払い賃金、安全配慮義務違反といった重要なリスクに影響してしまいます。
労働時間は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(H29.1.20)」を遵守した対応が求められますので、タイムカードや客観的に労働時間を記録できる勤怠打刻システムを導入するだけでは不備があり、実態労働時間の把握にも留意しなければなりません。
最近でも5分間マウスやキーボード操作等をしなかった時間をカウントするツールが話題となりましたが、実際にそのような時間をカウントして、さらに一律に休憩時間として控除することは、実態労働時間の把握において大きなリスクがあります。PCのシャットダウン時間と打刻された終業時間に数分の差異がある場合は許容する等、始業終業時刻や勤怠打刻時間と、実態労働時間の乖離をチェックするために一定の基準を設けることは効果的ですが、労働者としっかりとコミュニケーションをとり、労働時間管理方法をルール化していきましょう。

■従業員フリーランス化のメリットは

労働時間の絶対的な上限規制が反対に労働者のパフォーマンスやエンゲージメントを下げる、完全な成果主義への移行を目指す、というような観点から、キャリアプランとして従業員にフリーランス化の道を用意する、という複線型の人事制度を取り入れる会社も増えてきました。従業員が希望する働き方や報酬形態がマッチすれば、フリーランス化はメリットをもたらします。ただし労働関係法令の保護や公的保険の適用が外れ、フリーランスとしての地位を悪用した関係性が築かれるリスクもあるため、フリーランス化のメリットとデメリットをきちんと理解した上で制度設計を行う必要があります。

■フリーランス保護のためのガイドラインが公表された

3月26日には内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で、フリーランスと事業者の関係性において、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令といった法令の適用関係や、法令における問題行為を整理した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が公表されました。
このガイドラインではフリーランスの定義や、フリーランスと取引をする際にどのような点を注意しなければならないかという点が、「報酬の支払遅延」「一方的なやり直し」等の問題行為の類型とともに示されています。ガイドラインに違反するような取引形態と判断された場合、独占禁止法や下請法等の法違反につながる可能性がありますので、しっかりと内容を確認しましょう。ガイドラインでは、ガイドラインに基づいた契約書のひな型も示されておりますので、ひな型を参考に点検をしていくことも有効です。
またガイドラインではフリーランスがどのような場合に「労働者性がある」と判断されるのかの判断基準についても示されています。従業員の希望やメリットを尊重して制度設計したつもりでも、制度が形骸化し労働者性があると判断される状態となっていないか、という実態も気を付けなければなりません。ガイドラインでは判例も踏まえて事例が示されています。フリーランスについて労働者性があり、実態は雇用に該当すると判断された場合、遡りでの残業代支払いや社会保険適用等のリスクが発生する可能性があります。

■まとめ

最新の労務事情から、IPOで求められるリスクマネジメントのポイントを解説しました。あくまでこれらは最近話題となっているトピックから取り上げたものであり、他にもたくさんのリスクマネジメントのポイントが存在します。東証市場再編により、より高いガバナンス基準が求められますので、最新のトレンドや法規制については引き続きタイムリーに対応していく必要があります。

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