見落とし注意!消費増税に伴う給与計算の実務対応

皆さまこんにちは。麸沢です。

10月1日より消費税率が引き上げられ、身の周りの様々なものが値上がりしました。
増税にあわせ、政府主導でキャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)による、キャッシュレス決済も推進されていますね。
ポイント還元制度決済額の2%または5%が還元され、20年6月末まで実施されるというものです。コンビニなどで電子マネーで買い物をすると、ポイント還元され、実質的に値引きされることになります。
私も実際電子マネーで買い物をしましたが、レシートには内訳が記載されていて、得した気分になりました。
今後もキャッシュレス決済はますます増えていきそうですね。

さて、この今回の税率改定に伴い、給与計算を行う上で忘れてはいけない対応があります。
どのような対応が必要なのか、対応しないとどのようなリスクがあるのかなどを見ていきましょう。

■公共交通機関の料金改定がありました
各鉄道会社では、消費税が引き上げられるのに伴い、料金を改定しました。
今回の改定は引き上げられる税率分を運賃等に転嫁するもので、具体的な内容については各社の公式HP等をご覧頂ければと思います。
料金は規定に従って値上げとなりましたが、切符利用の場合は10円単位となることから、区間によって値上がるケースと据え置きの場合が生じる事となったようです。

■企業に必要な対応とは?
多くの企業では通勤手当を支給していることから、今一度従業員の支給額を確認する必要があります。
あとから、実際の金額と支給額が違っていたということにならないように、注意が必要です。
そのためにも、給与計算を行う前に、通勤手当の支給対象となっている従業員から変更届等を提出してもらい、支給すべき金額にズレが無いように確認を行いましょう。

■社会保険の月額変更に注意しましょう
通勤手当の変更は固定的賃金の変動に該当するため、社会保険の月額変更の可能性が出てきます。
月額変更は次の3つの条件を全て満たす場合に行います。

①昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった。
②変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
③3か月とも支払基礎日数が17日以上である。

そのため、通勤手当の変動があった月以降3ヶ月間は、従業員1人1人を月額変更に該当するかどうか、確認をしなくてはなりません。
変更の要件は、3ヵ月間で標準報酬月額が2等級以上変動した場合ですので、消費増税分の通勤手当が高くなるだけでしたら、該当する可能性は低いです。
ですが、その3ヵ月間に残業代などの非固定的な賃金が多くなってしまった場合、月額変更に該当してしまい、社会保険料が増えることとなります。
なぜ急に社会保険料が増えたのか、従業員に説明を求められる可能性もありますので、説明できるように準備も必要ですね。

年末が近づき、給与計算担当者にとって忙しい時期となりますが、後から支給のズレを遡って調整しなければならない労力を考えると、今のうちに対応しておくことが必要といえるでしょう。

麸沢