読書

秋がやってきました。
読書の秋にちなみ、最近読んだ本を紹介させていただきます。

・愛を科学で測った男―異端の心理学者ハリー・ハーロウとサル実験の真実

画期的な「代理母」実験や悪名高き隔離実験で愛の本質を追究した天才心理学者の破天荒な人生と愛の心理学の変遷をピュリッツァー賞受賞作家が余すところなく描き尽くす。(「BOOK」データベースより)

親子の身体的接触が乳児の発達に有害であると考えられていた時代。
サルの社会(ひいては人間の社会)におけるスキンシップや愛の重要性を理解しようと一心不乱に努力した彼(ハリー・ハーロウ)の功績が記されています。

赤ちゃんザルが布製の母親にしがみつく有名な「代理母実験」など、彼は様々な実験をしました。

愛の最良の部分だけではなく、暗い面をも探求しようとした結果、「絶望の淵」と呼ばれる完全隔離実験を考案し、心理学的に障害され、ヒトのうつ病のモデルとして使用されるサルをすばやく生み出しました。

前述のような陰惨な実験や、時に見せる露悪的な態度から、非倫理的とみなされ非難されることも多くあり、彼の複雑な人間性も丁寧に描かれています。

伝記でもなく、心理学の歴史を書いた本でもない、中々とっつきづらい本ですが、著者が語るように、この本は家族の、愛の、パートナーの、人間関係の物語であり、普遍的な人間の営みに関するとても興味深い、面白い本でした。

白楊社は、自然科学に関するユニークな翻訳書を多く出版しているので、他の本も読んでみようと思います。

皆さまも実りの秋をすこやかにお過ごしください。