準備はOK?!令和2年度の年末調整の改正点について

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10月も半ばに入り、事務所内では今年も年末調整に向けて、顧問先様への書類の発送準備に
取り掛かる時期になり、年で一番?慌ただしい時期が始まります。
今年から新たに保険料控除証明書等が電子データで取得できるようになるなど、
政府の年末調整の電子化を推する動きもあり、
年末調整を紙ではなくクラウドサービスなどを利用して行う企業も増えてきています。
ちなみに弊社もクラウドサービスを利用し、自社の社員の年末調整手続きを行う予定です。
さて、今年度の年末調整は2018年度に続き、各種控除額等に大幅な変更がありますので
今日は年末調整の変更ポイントをおさらいしたいと思います。

<給与所得控除の改正>
給与所得控除とは給与収入から一番はじめに差し引ける控除額のことで、自営業でいうところ
の経費のようなものです。
今年度から下記のように給与収入に応じて控除額が引き下げとなりました。

(1)給与収入が850万円以下の場合
   給与所得控除額が一律10万円引き下げられました。
(2)給与所得控除の上限額が適用される給与収入の改正
   給与収入1000万円超から850万円超へと引き下げられました。
(3)給与所得控除の上限額の引き下げ
   上限額が220万円から195万円へと引き下げられました。

なお、上記の改正により、各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件も
併せて変更となっています。
あくまでも合計所得要件が変更になるだけであって収入ベースは変わらないのでご注意ください。

<基礎控除の改正>
基礎控除とは、本人に対する控除で、改正前は誰でも一律で差し引ける控除でした。
改正により合計所得金額に応じて差し引ける控除額が変更となりました。ちなみに、
合計所得金額が2400万円を超える場合は基礎控除額が減る仕組みですが、2400万円を超えない場合は
控除額が10万円引き上げとなっています。
従って、合計所得金額が850万円以下の会社員は、給与所得控除と合わせて±0というケースが
ほとんどかもしれません。

(1)基礎控除額の引き上げ
   38万円から48万円へと10万円引き上げられました。
(2)基礎控除額の逓減
   合計所得金額が2,400万円を超える給与の支払を受ける人については、
その合計所得金額に応じて基礎控除額が逓減します。
(3)基礎控除額の適用なし
   合計所得金額が2,500 万円を超える給与の支払を受ける人については
基礎控除の適用はありません。

<所得金額調整控除の創設>
今年度から新設された控除です。所得金額調整控除とは、その年の給与等の収入金額が
850万円を超える給与の支払を受ける人で、特別障害者に該当する方又は年齢23歳未満の
扶養親族を有する方若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する方は、
所得金額調整控除の適用を受けることができます

計算式:所得金額調整控除=[給与収入額(上限1,000万円)-850万円]×10%

給与収入が850万を超える方でも、育児や介護などの一定の事情がある方には配慮をしましょうと
いうことですね。

<年末調整関係手続の改正>
冒頭でも説明しましたが、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等特別控除
(平成31年(令和元年)以後の居住年)に係る年末調整関係書類について、オンラインでの取得が
可能となりました。ちなみに今日現在、すべての保険会社がオンライン取得に対応しているわけでは
ないためご注意ください。

その他、ひとり親控除の新設や寡婦(寡夫)控除の見直しも併せて行われています。なお、
これらの改正は令和2年分の年末調整から適用されます。(源泉所得税の計算への反映は令和3年1月から)

これらの改正に伴って、各種様式も変更となっています。
今年度は改正点が多いため、現場での混乱も予想されます。担当者は事前に改正のポイントを把握していただき
従業員からの説明に答えられるよう準備が必要です。
もちろん、ご不明な点がありましたら、お気軽に弊社へもお問合せくださいませ!

詳細は下記の国税庁のホームページからもご確認いただけます。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm
年末調整がよくわかるページ

最後までお読みいただきありがとうございました。

asano