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【社労士解説】新入社員が「辞めたい」と思う前に…オンボーディング設計と早期離職防止のポイント

人事

「採用した新卒社員が、入社半年で退職してしまった」「中途採用者が、3ヶ月で来なくなってしまった」
こうした経験を持つ企業は、決して少なくありません。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒業者・令和6年10月公表)によると、新規大卒就職者の3年以内離職率は33.8%に上ります。3人に1人以上が3年以内に離職しているのが現実です。
しかし一方で、マイナビが2026年卒の大学生を対象に実施した調査では、入社予定先が決まっている学生の58.8%が「入社予定先で長く働きたい」と回答しており、1年以内に転職を考えているのはわずか0.9%でした(出典:マイナビ「2026年卒大学生キャリア意向調査2025年7月」)。つまり、ほとんどの新入社員は最初から「辞めよう」と思って入社してくるわけではありません。入社後の環境・関わり方・仕組みの問題が、離職を招いているのです。
本稿では、「オンボーディング」の設計を改めて見直すためのポイントを解説します。

1.「リアリティショック」が最初の離職トリガー
2.オンボーディングの4つの構成要素
3.入社後30・60・90日プランの考え方
4.「話せる人がいる」環境をつくる
5.中途採用者のオンボーディングも見落とさない
6.まとめ

■「リアリティショック」が最初の離職トリガー

「思っていた仕事と違った」「職場の雰囲気が想像と全く違った」——こうした入社後のギャップを「リアリティショック」と呼びます。
リアリティショックには2つの要因があります。ひとつは、会社側が採用段階で不都合な事実を伝えていないケース。もうひとつは、新入社員側が過度な期待を持って入社するケースです。いずれにせよ、ギャップを放置すれば早期離職につながるリスクが高まります。オンボーディングとは単なる「入社研修」ではありません。このギャップを丁寧に埋め、新入社員が職場に根を張るまでのプロセス全体を設計することです。入社前のフォローから着任後一定期間まで、計画的に取り組むことが重要です。

■オンボーディングの4つの構成要素

効果的なオンボーディングは、以下の4つの要素から構成されます。

①業務習得(仕事を覚える)
必要なスキルや知識、業務フローを習得するプロセスです。多くの企業はここに集中しますが、これだけでは不十分です。

②関係構築(職場になじむ)
上司・同僚・他部署との人間関係を築く機会の設計です。職場に「知っている人」がいるかどうかは、定着率に大きく影響します。

③文化理解(会社の価値観を知る)
企業の理念・行動規範・暗黙のルールを理解するプロセスです。言語化されていないことほど、早期に伝える工夫が必要です。

④キャリア接続(将来像を描く)
「この会社でどう成長できるか」を早期に描けるかどうかが、長期定着を左右します。キャリアパスや評価制度の説明を入社初期に行うことが効果的です。特に近年は、職場で次のキャリアが見出せずにモチベーションを失う「静かな退職」が課題となっており、ここへの投資がますます重要になっています。

■入社後30・60・90日プランの考え方

オンボーディングを「なんとなく先輩に任せる」状態から脱却するには、入社後の節目でマイルストーンを設定する「30-60-90日プラン」が有効です。

・入社後30日
業務の基礎習得と職場環境への適応を目標とします。「誰に何を聞けばよいか」がわかる状態をつくることが最初のゴールです。

・入社後60日
業務の独立遂行と社内ネットワークの形成を目指します。他部署との接点を意図的につくる機会を設けることが効果的です。

入社後90日
成果の振り返りとキャリア面談を実施します。「どう感じているか」「今後どんな仕事をしたいか」を聴く場を設けることで、早期のミスマッチ発見と関係構築の両方に効果があります。

重要なのは、このプランを「本人だけ」に課すのではなく、受け入れ側の上司・メンターも動く仕組みとして設計することです。

■「話せる人がいる」環境をつくる

早期離職を防ぐうえで最も効果的な施策のひとつが、定期的な1on1(上司との個別面談)です。ただし、「評価の場」にならないよう設計することが重要です。
業務進捗の確認だけでなく、「困っていることはないか」「この仕事はどう感じているか」といった率直な対話を促す場として機能させることが求められます。週1回でなくても構いません。まず月1回30分の定例として始めることが現実的です。
また、直属の上司とは別に相談できるメンターやバディを設けることも有効です。上司には言いにくい悩みや疑問を、比較的近い年次の先輩社員に相談できる関係性があるだけで、孤立感の解消に大きな効果をもたらします。

■中途採用者のオンボーディングも見落とさない

オンボーディングは新卒だけの課題ではありません。マイナビの「中途採用実態調査2025年版」によると、「早期離職者がいた」と回答した企業の割合は65.4%に上りました。
中途採用者は「即戦力」として期待される分、十分なオンボーディングが省略されがちです。しかし、スキルはあっても文化・環境への適応には一定の時間が必要です。「説明しなくてもわかるはず」という思い込みが、中途離職の温床になっています。新卒向けとは別に、中途入社者向けの受け入れ手順を簡単にでも整備しておくことが、採用投資を無駄にしないための重要な一手です。

■まとめ

採用コストが高騰し続ける現在、入社した人材を早期に失うことは企業にとって大きな損失です。しかし、その多くは「職場を嫌いになって辞める」のではなく、「職場に馴染めず、孤立して辞める」というのが実態です。「長く働きたい」という気持ちで入社してきた新入社員が根を張れるかどうかは、制度と関わり方の設計にかかっています。4月に新しい仲間を迎えたこのタイミングを、オンボーディングを見直す機会にしてみてください。
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