【社労士解説】2026年7月「障害者法定雇用率」引き上げ─ 直前に慌てないための準備チェックリスト
2026年7月1日、障害者の法定雇用率が現行の2.5%から2.7%(民間企業の場合)へと引き上げられます。対象となる事業主の範囲が拡大し、これまで義務の対象外だった企業も新たに対応が必要になるケースがあります。2025年6月時点で法定雇用率を達成している民間企業は全体の約46%にとどまっており、多くの企業が対応を迫られます。本稿では、法定雇用率引き上げ前に確認すべき実務ポイントを解説します。
2.対象事業主の範囲と影響
3.未達成の場合のペナルティ
4.今から取り組む採用・定着のポイント
5.まとめ
■法定雇用率引き上げの概要
障害者雇用促進法では、民間企業・国・地方公共団体等に対して、一定割合以上の障害者を雇用することを義務付けています。この割合を「法定雇用率」といいます。民間企業の法定雇用率は段階的に引き上げられており、2024年4月に2.3%から2.5%となりました。さらに2026年7月1日には2.5%から2.7%へと引き上げられます。(出典:厚生労働省「障害者雇用率制度の段階的引き上げについて」)
この引き上げは「障害者の職業の安定」と「労働力不足の解消」という2つの目的を同時に達成するための施策です。企業にとっては、人材確保と法令遵守の両面から対応が求められます。施行まで残りわずかとなった今、自社の状況を早急に確認することが必要です。
■対象事業主の範囲と影響
法定雇用率の引き上げにともない、雇用義務の対象となる事業主の範囲も拡大します。2026年7月1日以降、常時雇用する労働者が37.5人以上の事業主が対象となります(現行は40.0人以上)。
つまり、これまで雇用義務の対象外だった「37.5人以上40人未満」の規模の企業も、新たに障害者を雇用する義務が生じることになります。自社の従業員数を再確認し、対象に該当するかどうか早急に確かめましょう。
なお、2025年6月時点で民間企業の法定雇用率達成率はわずか約46%にとどまっており、特に法定雇用率未達成企業の内、障害者を1人も雇用していない企業が約57%を占めるとの調査結果もあります。(出典:厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」)
■未達成の場合のペナルティ
常時雇用する労働者数が100人を超える企業が法定雇用率を未達成の場合、不足している障害者1人につき月額50,000円の「障害者雇用納付金」が徴収されます。100人以下の企業は現時点で納付金の対象外ですが、行政指導の対象となります。
さらに、行政指導に従わず改善が見られない場合は企業名が公表されるリスクがあります。企業のブランドイメージや採用活動への悪影響を考えると、経営上のリスクとして軽視できません。2026年7月までに達成が見込めない場合は、いまから採用計画を立て直す必要があります。
■今から取り組む採用・定着のポイント
障害者雇用で「採用できない」「定着しない」という声をよく聞きますが、事前の準備と受け入れ環境の整備によって大きく改善できます。
①自社でできる仕事の棚卸し
まず、自社の業務の中で負担に感じている仕事(データ入力・書類整理・清掃・軽作業など)を棚卸しし、業務に必要な能力や手順を明確にします。業務の切り出しと整理が採用成功の第一歩です。
②支援機関・ハローワークの活用
障害者専門のハローワーク窓口や就労支援事業所との連携により、マッチング精度が高まります。また、「特定求職者雇用開発助成金」などの助成金を活用することで、採用・定着コストを抑えることも可能です。
③職場環境の整備と定着支援
入社後のサポート体制(担当者の配置・定期面談・業務調整の仕組みなど)を事前に整えておくことが、長期定着の鍵です。受け入れ体制の充実が、職場全体のチームワーク向上にもつながります。
■まとめ
2026年7月1日の法定雇用率引き上げまで、残り約1ヶ月。「対応が間に合わない」という企業も、今すぐ動き出すことで着実に前進できます。まずは自社の雇用状況の現状把握と、採用計画の見直しから始めましょう。
汐留社会保険労務士法人では、障害者雇用に関する法令対応のご相談から採用・定着支援、助成金の活用提案まで、トータルでサポートしています。「どこから手をつければよいかわからない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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