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労働法関係

派遣社員にテレワークをさせないのは違法?

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今までも働き方改革、オリンピック対策として普及が進められていたテレワークですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、一般的な働き方として一挙に定着しつつあるように感じられます。新しく普及した制度である以上、職務内容によってテレワークできない人がいる、テレワークをするための環境整備が会社によって様々等、過去になかったような労務トラブルも増えていますが、テレワークの対象者として派遣労働者を認めるかどうかについても、大きな論点になっています。

1.テレワークが急速に普及、派遣労働者への実態とは
2.法解釈を明確化し、テレワーク普及を図っている
3.テレワークを導入する場合の注意点
4.まとめ

■テレワークが急速に普及、派遣労働者への実態とは

緊急事態宣言以降は、事務系の派遣労働者を中心に、テレワークは一定程度実施されてきているようです。7月29日に行われた労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会の資料では、派遣事業者団体が会員企業等へ行ったアンケート調査結果が記載されており、それによると派遣労働者数全体の内、テレワーク実施者は約30%という数字になっています。

しかし、派遣先がテレワークを実施していない、派遣労働者の業務内容が製造系や流通関係、店頭販売での小売業である等の事情により、業務内容によって明確にテレワークの差が出てしまっている状況です。

■法解釈を明確化し、テレワーク普及を図っている

そこで派遣労働者へのテレワークについても一層の活用を求めるために、対策が予定されています。
まず現状でも行われている内容ですが、派遣元事業主・派遣先に対するQ&Aを示し、法解釈の明確化が行われています。派遣労働者であることのみを理由として一律にテレワークを実施しないことについては、労働者派遣法で定める同一労働同一賃金の趣旨・規定に反する可能性があることを示し、派遣労働者へテレワークをさせないことが違法になる可能性があることを明確にしています。さらにテレワークを実施する場合、所属する派遣先の事業所とは別に就業の場所が自宅等(テレワークの実施場所)となること、通信費や必要な費用負担を求める場合にはその費用負担の範囲と内容等、あらかじめ労働者派遣契約等に定めるべき内容について、明確化をさらに進めていく予定となっています。

■テレワークを導入する場合の注意点

上記のように、就業場所や派遣労働者の用意すべきもの、費用負担についても労務トラブルにならないように注意して進める必要がありますが、派遣労働者の労働時間管理についても注意が必要です。

派遣労働者がテレワークを実施する場合も、派遣先が適正に労働時間等を把握し、派遣元事業主に通知しなければなりません。テレワークの場合は現認による労働時間の確認がほぼ不可能であることから、情報通信技術等を利用した労働時間の把握等についてガイドラインも作成されています。派遣労働者にもテレワークを認める場合に、派遣先が全くテレワーク労働者の労働時間を把握していない、労使協定を締結せずに事業場外みなし労働時間制として労働時間管理をしている等、ガイドラインを守れていないような労働時間把握を行っている場合、未払い残業代請求のリスクが発生する可能性が出てきてしまいます。

■まとめ

新型コロナウイルス感染症の拡大防止や働き方改革を考えても、テレワークは雇用形態問わずに広く導入されていくべき制度ではあります。一部の従業員のみテレワークを実施しないことについては法違反になる可能性も理解した上で、働き方にあったお互いに納得できるテレワーク制度を今後も考えていくべきかと思います。

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