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【最新法改正】中小企業こそ取り組みたい!えるぼし認定の取得プロセス

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就職活動中の学生や転職希望者にとって、「女性が働きやすい環境かどうか」は企業選びの重要な判断材料となっています。そんな中で注目を集めているのが「えるぼし認定」です。2024年9月末時点で3,041社が認定を受けており、年々取得企業が増加しています。本コラムでは、えるぼし認定の具体的な取得プロセスを解説します。
えるぼし認定の概要については、こちらの記事もあわせてご確認ください。

1.えるぼし認定の5つの評価基準
2.えるぼし認定の種類
3.えるぼし認定取得のプロセス
4.プラチナえるぼし認定について
5.2026年法改正への対応
6.まとめ

■えるぼし認定の5つの評価基準

えるぼし認定では、次の5つの基準で女性の働きやすさ・働きがいを総合的に評価します。

  1. 採用における男女比

  • 男女別の採用比率が同程度であること
  • 女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上であること など
  1. 継続就業の状況

  • 女性の平均継続勤務年数が男性の7割以上であること
  • 女性の平均継続勤務年数が産業ごとの平均値以上であること など
  1. 労働時間等の働き方

  • 法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が、各月45時間未満であること
  1. 管理職比率

  • 管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均以上であること など
  1. 多様なキャリアコース

直近3事業年度に、以下のいずれかの実績を有すること
(企業規模により要件変動あり)

  • 女性の非正社員から正社員への転換
  • 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
  • 過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
  • おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用 

■えるぼし認定の種類

えるぼしは大きく以下の認定種類があります。

■えるぼし認定取得のプロセス

えるぼし認定取得については、以下の流れで進めます。

STEP1:現状分析と行動計画策定

STEP2:情報公表の実施

STEP3:えるぼし認定取得の申請 

各STEPの詳細はこちらです。

STEP1:現状分析と行動計画策定

(1)基礎項目を用いた女性活躍状況の分析

以下の基礎項目について、自社の現状を把握します。

【基礎項目】
  • 採用した労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分別)
  • 男女の平均継続勤務年数の差異(雇用管理区分別)
  • 労働者の月別平均残業時間等の労働時間状況
  • 管理職に占める女性労働者の割合
  • 男女間の賃金差異 ※301人以上の企業は必須
  • 多様なキャリアコース対象者の有無 ※基礎項目ではないがえるぼしの認定基準
ポイント
  • 基準未達成項目でも2年連続で改善していれば認定対象となるため、直近データだけでなく過去2年間の推移も把握することがおすすめです。
  • 雇用管理区分(正社員・契約社員・パート等)ごとの詳細な分析が必要です。
雇用管理区分とは?

職種、資格、雇用形態、就業形態等の労働者の区分のことです。
従事する職務の内容、人事異動(転勤、昇進・昇格を含む)の幅や頻度において 他の区分に属する労働者との間に、客観的・合理的な違いが存在しているかによって判断します。

例:正社員、契約社員、パートタイム労働者/総合職、エリア総合職、一般職/事務職、技術職、専門職 など
※雇用形態が同じで職務内容が類似し、全労働者数の1割に満たない雇用管理区分については、まとめることも可能です。

【状況把握・課題分析が可能なおすすめツール】
(2)行動計画の作成

課題分析をもとに、行動計画を作成します。

行動計画のイメージ図

 

(3)行動計画の公表・届出

労働者・外部への行動計画の公表・労働局への届出を行います。

労働者への周知

非正社員を含む全ての労働者に対して周知が必要です。
方法としては、事業所の見やすい場所への掲示、電子メールでの送付などが挙げられます。

外部への公表

厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載(厚生労働省運営・推奨)や、自社ホームページへの掲載などが必要です。

都道府県労働局への届出

作成した行動計画を管轄の都道府県労働局へ届け出ます。

STEP2:情報公表の実施

女性活躍推進企業データベース(厚生労働省運営・推奨)や自社ホームページなどで必要な公表項目を公開します。
公表必要項目は以下の通りです。

公表必要項目

※下線については2026年法改正により追加予定の項目

STEP3:認定申請と審査

申請タイミングの重要ポイント
  • 行動計画の計画期間内での申請が必須
  • 直近事業年度のデータで評価されるため、申請時期の戦略的検討が重要
認定基準
  • 5つの評価項目の達成状況に応じて1~3段階で認定(えるぼし)
  • 重大な法令違反がないこと
  • 基準未達成項目は過去2年間に数値が改善されていれば認定可能

■プラチナえるぼし認定について

より高いレベルでの女性活躍認定制度

プラチナえるぼしは、通常のえるぼし認定(1~3段階)を取得した企業が申請可能です。

主な要件
  • 通常のえるぼし認定基準をすべて満たし、えるぼし認定を受けたこと。
  • 策定した行動計画の数値目標をすべて達成すること
    ※通常のえるぼし認定は、行動計画の目標達成は必須ではないです。
  • 男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者の選任
  • 求職者等に対するセクハラ防止措置の内容を公表(2026年改正で追加予定)など 

■2026年法改正への対応

えるぼし制度の見直しが検討されているポイント

  • 認定1段階目の基準見直し(2年以上連続して実績が改善されているという要件)
  • 女性の健康支援に取り組む企業向け「えるぼしプラス」の創設検討
  • プラチナえるぼしの認定基準を追加(ハラスメント対策)

取り組み開始時のポイント

  1. 現状把握の徹底

    まずは自社の女性活躍状況を正確に把握することから始めましょう。過去2年間のデータを含めた詳細な分析により、自社の課題を明確にします。

  1. 実現可能な目標設定
    行動計画では、自社の実情に即した実現可能な目標を設定することが重要です。特にプラチナえるぼしを目指す場合は、目標達成が必須となるため慎重な検討が必要です。
  1. 継続的な取り組み体制の構築

    女性活躍推進は一時的な取り組みではなく、継続的な経営課題として取り組む必要があります。社内体制の整備と定期的な進捗管理が成功の鍵となります。

よくある課題と対策

データ収集・分析の難しさ

人事労務管理システムの活用や外部専門家(社労士)との連携により効率化が可能です。

目標設定の困難さ

業界平均値や他社事例を参考にしながら、段階的な改善目標を設定することをお勧めします。

社内の理解促進

研修実施などを通じて、全社的な理解促進を図ることが重要です。

■まとめ

えるぼし認定は、女性活躍推進の「見える化」を通じて、企業価値向上と優秀な人材確保を同時に実現できる制度です。中小企業でも十分取得可能であり、税制優遇や公共調達での加点など、具体的なメリットも数多くあります。
女性活躍推進は、単なる法令遵守を超えて、企業の持続的成長に不可欠な経営戦略です。少子高齢化が進む中、多様な人材が活躍できる環境づくりは企業の競争力そのものと言えるでしょう。
ぜひこの機会に、えるぼし認定取得を通じた女性活躍推進に取り組み、「選ばれる企業」への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
汐留社会保険労務士法人では、女性活躍推進法対応、行動計画策定、情報公表対応などえるぼし認定取得支援をサポートしております。お気軽にご相談ください。
えるぼし・くるみん認定取得のご支援 | 汐留社会保険労務士法人

 ※本コラムは2025年6月時点の情報に基づいて作成されています。法改正等により内容が変更される可能性がありますので、最新情報は厚生労働省ホームページ等でご確認ください。

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