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働き方改革

シニア層のチカラを企業力に──70歳までの就業機会確保時代のリアルと未来戦略③

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■5つの戦略の効果

5つの戦略を実践した企業では、次のような効果が報告されています。


①評価制度の再設計効果

評価制度を再設計し、役割・成果・貢献の基準が明確になると、「なぜこの報酬なのか」が合理的に説明でき、年齢に関係のない、Pay for Performanceをベースにした「評価」の文化が根付きます。このPay for Performance評価の文化は、本人の納得のもとに働く意欲を引き出すことを可能とし、シニア層のみならず、若手・中堅社員のエンゲージメントにもプラスに影響します。その結果、社員全般の定着率の改善が期待でき、企業としての人材確保や、ノウハウ、現場知識の流出を防ぐことに繋がります。

②リスキリングの推進効果

リスキリングの推進は、個人の成長と組織の生産性を同時に高めます。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代、デジタルリテラシーの習得は全世代共通の課題です。学び直しを支援する企業では、業務効率化や提案力向上など、目に見える成果が現れています。シニア層が新たなスキルを身につけていくことで、既存の人的資本が強化され、結果として企業の競争力の底上げにつながります。また、「リスキリングは自らの成長機会」といった意識の醸成によって、シニア層も自らの成長機会に挑戦し、企業成長の担い手として前向きに取り組む姿勢が広がります。

③多世代・多属性メンタリング効果

多世代・多属性メンタリング制度の効果は、若手と、女性・外国人を含む多様化したシニア層との交流による、世代間、組織間の垣根を超えた“共創”の推進に表れます。若手はシニア層からこれまでの豊富な経験に基づいた暗黙知や現場勘を学び、シニア層は若手から最新技術や新しい発想方法、文化を吸収する。こうした双方向の関係性の活発化は、チームの心理的安全性とともに生産性を高め、またコミュニケーションの活発化により、風通しのいい組織への変革や離職率の低下に寄与します。クロスメンタリングやリバースメンタリングといった仕組みの導入により、これまでの「世代間格差」を「世代共創」へ転換することができます。また組織の壁を越えた「部門外」や「社外」の人材との交流により、今現在の周囲にはいないタイプのロールモデルや、異なる組織文化、業界の視点をもった人材からアドバイスを受けることができ、個々の視野の広がり、キャリア形成の促進につながります。

④柔軟な勤務制度等の効果

柔軟な勤務制度の導入は、健康リスクを抑えつつ長期的な雇用継続を実現します。週3日勤務や短時間勤務、在宅勤務など、多様な働き方を選べる環境は、無理なく実力を発揮できるだけでなく、個々の健康状態や家庭事情にも配慮されることになります。こうした柔軟性はシニア層のみならず育児や介護、病気治療と両立する他の社員にとっても有効であり、全社的なワークライフバランスが改善し、結果的に組織への帰属意識の向上、生産性向上につながることが期待できます。また、自社の有能な社員を引き留めるだけでなく、外部の有能人財を自社に引き付ける効果も期待できます。

⑤キャリア対話・配置設計の効果

キャリア対話と配置設計の定着は、シニア層の強みを最大限に活かし、組織全体の知的資産の体系的な継承の促進を目的として行うものです。定期的なキャリア面談を通じて、本人の意欲、志向性と組織ニーズをマッチさせた配置の実現を目指します。さらにこの取り組みは、シニア層に限らず、若手から中堅層にとっても有効な取組みとなることが期待でき、将来的に自律した人材の育成・確保、並びに活気ある職場の実現につながると考えています。


■「多様性と共創」による組織進化

これら5つの施策は単なる人材活用策にとどまらず、企業文化そのものを「多様性」と「共創」を軸に進化させるための契機となります。シニア層を“過去の人”としてではなく、“未来を共に創る人”として再定義することで、企業は持続的な成長と強靭な競争力を手にすることができます。
そして、シニア層の意欲や自尊心を高めるだけでなく、若手社員、中堅社員まで、幅広い社員層から意欲をもって働くことができると感じられる職場環境への転換は、定着率やモチベーション向上に大きく影響します。企業とシニア層、そして家族や地域・社会全体が「高齢者の社会参加」を価値として認め合い、支える空気を醸成することが、これからの持続可能な成長には必要です。特に、女性シニアや外国人シニアが活躍する職場は組織の包摂性の象徴でもあります。さまざまな視点や経験を持つ人材を戦力化できる企業こそが、「選ばれる企業」となり得るのではないでしょうか。

■まとめ

「人を活かす」制度を整えただけで満足しているうちは、変革は起こりません。制度の先に現場が本当に機能する仕組みを作り、実際に運用すること、その積み重ねこそが、「70歳までの就業機会確保」時代の成功条件です。
あなたの職場でも、小さな変化から未来の競争力ある豊かな組織を創り上げてみませんか。本コラムをきっかけに、自社の仕組みを今一度問い直し、明日からの飛躍への挑戦につなげていただければ幸甚に存じます。

▼高年齢者層雇用や労務管理でお困りの際は、お気軽に弊社までご相談ください。
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第1回 「70歳までの就業機会確保」時代の現実──高齢化が突きつける企業の課題
第2回 多様性を武器に──シニア層を“共創の担い手”にする5つの戦略

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