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【社労士解説】過労死等の労災請求が過去最多6,212件 ── 令和7年度「過労死等の労災補償状況」に見る過重労働・メンタルヘルス対策のポイント

「残業はそれほど多くないのに、なぜあの社員がメンタル不調に?」
こうした疑問を抱く人事担当者は少なくありません。令和8年7月15日、厚生労働省は令和7年度「過労死等の労災補償状況」を公表し、過労死等に関する労災請求件数が6,212件と過去最多を更新しました(前年度比1,402件増)(出典:厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」)。本稿では、公表された最新データの内容から、企業に求められる対策を解説します。

1.過去最多を更新した過労死等の労災補償状況
2.脳・心臓疾患──「運輸業」に集中する過重労働
3.精神障害──残業が少なくても不調は起こる
4.企業・個人に求められる過重労働・メンタルヘルス対策
5.まとめ

■ 過去最多を更新した過労死等の労災補償状況

令和7年度の過労死等に関する労災請求件数は6,212件、支給決定件数は1,310件でした。このうち死亡・自殺(未遂を含む)は145件と前年度から14件減少したものの、依然として高い数字です。請求件数の増加は、労働者の権利意識の高まりや、精神障害の労災認定基準が浸透してきたことも背景にあると考えられます(出典:厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」)。

■ 脳・心臓疾患──「運輸業」に集中する過重労働

過重労働が原因の脳・心臓疾患は、請求件数1,254件、支給決定件数217件でした。業種別では「運輸業、郵便業」が請求257件・支給決定64件で最多となり、なかでも「道路貨物運送業」が突出しています。支給決定件数を時間外労働時間別にみると、2〜6か月平均で「月60〜80時間」が48件と最も多く、いわゆる過労死ライン付近での発症が続いています。トラックドライバー等の労働時間管理は、2024年問題への対応と併せて引き続き重点課題といえます。

■ 精神障害──残業が少なくても不調は起こる

仕事のストレスが原因の精神障害は、請求件数4,958件・支給決定件数1,082件と、いずれも過去最多水準です。注目すべきは、支給決定件数を時間外労働別にみると「月20時間未満」が57件で最多だった点です。つまり、長時間労働がなくても精神障害は発生しています。出来事別では「上司等からのパワーハラスメント」が222件で最も多く、次いで「顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)」「セクシュアルハラスメント」が各127件でした。業種別では「医療、福祉」が突出しています(出典:厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」)。

■ 企業・個人に求められる過重労働・メンタルヘルス対策

これらのデータが示すのは、労働時間管理とハラスメント対策を「両輪」で進める必要性です。過重労働への対応としては、客観的な方法による労働時間の把握、36協定の適正な運用、医師による面接指導の確実な実施が基本となります。一方、メンタルヘルス面では、ストレスチェックの活用に加え、2026年10月に義務化されるカスタマーハラスメント対策や、既に義務化されているパワーハラスメント防止措置の実効性を高めることが欠かせません。厚労省より「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」の更新版も公開されていますので参考にしましょう。従業員一人ひとりも、不調のサインを早めに相談窓口へ伝えることが重要です。

■ まとめ

令和7年度の過労死等の労災補償状況は、過重労働とハラスメントの双方が依然として深刻であることを浮き彫りにしました。特に「残業が少なくても精神障害による労災は起こり得る」という事実は、長時間労働の抑制だけでは対策が不十分であることを示しています。労働時間管理と職場のハラスメント対策、そして相談しやすい体制づくりを一体で進めることが、これからの企業に求められます。

汐留社会保険労務士法人では、就業規則の整備や労働時間管理体制の構築、健康経営支援を通じて、過重労働・メンタルヘルス対策をトータルでサポートしています。お気軽にお問い合わせください。
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