【社労士解説】2026年10月1日から義務化されるハラスメント対策 ── カスハラと就活セクハラ、採用実務まで広がる点検範囲
「面接の日程調整を、担当者が個人のSNSでやり取りしているのですが、問題ないでしょうか」。採用のご担当者から、最近よくお聞きするご質問です。厚生労働省の調査では、就職活動中にセクシュアルハラスメントを受けたと回答した方は31.9%にのぼります(出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」)。2026年10月1日から、カスタマーハラスメントと求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が、事業主の義務となります。本稿では、この2つの義務化について、実務対応のポイントを解説します。
2.見落とされやすい「求職者等」の広さ
3.共通して求められる措置と、カスハラだけの措置
4.いま一度確認したい実務ポイント
5.まとめ
■義務化される2つのハラスメント
令和7年6月に労働施策総合推進法等が改正され、2026年10月1日から、①カスタマーハラスメント(カスハラ)対策と、②求職者等に対するセクシュアルハラスメント(いわゆる就活セクハラ)対策が、事業主の義務となります(出典:厚生労働省「安心して働ける職場へ ─ ハラスメント対策の強化で何が変わる?」)。
対象は従業員を雇用するすべての事業主で、中小企業にも猶予はありません。すでに義務となっているパワーハラスメント等の防止措置に、2つが加わることになります。
なお、カスハラの定義や講ずべき措置の詳細については、過去のコラム「【社労士解説】2026年10月義務化「カスタマーハラスメント対策」!人事担当者が今すぐ着手すべき実務ポイント」でも取り上げていますので、あわせてご覧ください。
■見落とされやすい「求職者等」の広さ
実務で見落とされやすいのが、就活セクハラの対象範囲です。「求職者等」には、採用面接の参加者だけでなく、就職説明会の参加者、インターンシップや教育実習・看護実習を受ける方、OG・OB訪問で自社の労働者を訪問する方も含まれます。
「求職活動等」の範囲も広く、SNS等のオンラインを介して行われるものや、飲食店など労働者が通常就業している場所以外で行われるものも対象とされています。OG・OB訪問の場が社外であっても、会社として問われ得るということです。なお、授業の一環としての社会科見学など、専ら教育を目的として行われるものに参加する方は含まれません。
■共通して求められる措置と、カスハラだけの措置
カスハラ・就活セクハラのいずれについても、①事業主の方針等の明確化と周知・啓発、②相談体制の整備、③事後の迅速かつ適切な対応、④プライバシー保護の措置と不利益な取扱いの禁止、が求められます。カスハラについては、これに加えて抑止のための措置も必要です。
就活セクハラで特徴的なのは、周知すべき相手が自社の労働者だけではないという点です。相談窓口はあらかじめ定めたうえで求職者等にも周知しなければならず、面談の時間や場所、実施体制、やり取りに用いるSNSの種類といった求職活動等に関するルールも、労働者と求職者等の双方に周知・啓発する必要があります(出典:厚生労働省「求職活動等をする方を守るために ― 求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の新ルール」)。
■いま一度確認したい実務ポイント
まず第一に、採用フローの点検です。面接やOG・OB訪問の連絡を個人のSNSや私用の携帯電話で行っていないか、社外や個室での一対一の面談が常態化していないかを確認し、社内ルールとして明文化しておきましょう。
そして次に、相談窓口の求職者等への周知です。採用サイトや募集要項、説明会の資料に記載するなど、社外の方が到達できる形にしておきましょう。
最後に、就業規則・ハラスメント防止規程の見直しです。禁止行為に求職者等に対する言動を加え、違反した場合の懲戒事由として位置づけることで、方針の明確化と厳正な対処が実効性を持ちます。
■まとめ
今回の義務化により、守られる対象は顧客等への対応にあたる現場と、求職活動等を行う方にまで広がりました。とりわけ就活セクハラは、面接官やOG・OB訪問に応じる若手社員など、これまでハラスメント研修の主たる対象とされてこなかった層の言動が問われます。
汐留社会保険労務士法人では、就業規則・ハラスメント防止規程の見直しから相談窓口の設計、管理職・面接官向けの研修まで、一貫してサポートしています。自社の体制に不安をお持ちのご担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。
汐留社会保険労務士法人では、労務に関するご相談から企業の実情に合わせたきめ細かな支援を行っています。「どこから手をつければよいかわからない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
汐留社会保険労務士法人 お問い合わせフォーム