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母性健康管理指導事項連絡カードで、安心して働くことができる職場環境を!

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働きながら妊娠、出産をし、産休育休を経て職場復職する女性が増えています。しかし、妊娠、出産等による休暇や休職制度等の環境が整っていない職場も、まだ多くあるのではないでしょうか。そのような職場では、「つわりによる体調不良で長時間働けない。」「夜間勤務が出来ない。」「満員電車が辛いので時差出勤をしたい。」「産後の体調が悪く勤務することが難しい。」等の妊産婦(妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性)による悩みがあったとしても、会社に希望を言いにくい状況があるかもしれません。また、会社側も従業員の体調や気持ちを全て汲み取り対応するのは容易ではないでしょう。
そこで、働く妊産婦をサポートする手段の一つとして、「母性健康管理指導事項連絡カード」があります。この「母性健康管理指導事項連絡カード」は令和3年7月に様式が新しくなり、さらに使いやすくなりました。働く女性が安心して出産し育児をすることができるように、「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用方法について解説いたします。

1.母性健康管理措置とは
2.母性健康管理指導事項連絡カードとは
3.母性健康管理指導事項連絡カードのポイント
4.まとめ

■母性健康管理措置とは

男女雇用機会均等法第13条により、妊産婦が保健指導、健康診査の際に主治医や助産師から指導を受け、事業主に申し出た場合、その指導事項を守ることができるようにするために必要な措置を講じることが事業主に義務付けられています。これを母性健康管理措置といいます。

母性健康管理には次のような措置があります。

〇妊娠中の通勤緩和→時差通勤、勤務時間の短縮等の措置
〇妊娠中の休憩→休憩時間の延長、休憩回数の増加等の措置
〇妊娠中又は出産後の症状等への対応→作業の制限、勤務時間の短縮、休業等の措置

上記の措置の他、令和2年5月7日~令和4年1月31日までの間、その雇用する妊娠中の女性労働者から、保健指導や健康診査に基づき、当該女性労働者の作業等における新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師等により指導を受けた旨の申出があった場合には、当該指導に基づき、作業の制限、出勤の制限等の必要な措置を講じなければなりません。これらの母性健康管理措置義務に違反した事業主は、都道府県労働局長による助言、指導、勧告の対象となり、勧告に従わなかった場合は企業名公表の対象となります。また、労働基準法により産前産後の休業期間中とその後30日間は、原則として労働者を解雇することはできません。そのほか、男女雇用機会均等法により、母性健康管理措置を求め又は受けたこと等を理由とする解雇やその他の不利益取扱いは禁止されています。妊産婦に対してなされた解雇については、原則として無効となります。解雇だけではなく、母性健康管理措置を求め又は受けたこと等を理由とする嫌がらせは、妊娠・出産等に関するハラスメントとして、事業主に防止措置義務が課されています。令和4年4月1日から中小企業もパワハラ防止措置が義務化されますが、マタニティハラスメントについても併せて再確認しておく必要があるでしょう。

母性健康管理指導事項連絡カードとは

事業主が、上記の母性健康管理措置を適切に講じるために、指導事項の内容が事業主に的確に伝達され、講ずべき措置の内容が明確にされることが重要です。このため、病院等で診察指導を受けた内容を的確に会社に伝達するための書類として、「母性健康管理指導事項連絡カード」の様式が定められています。通称「母健連絡カード」と呼ばれています。

厚生労働省のホームページから、母性健康管理指導事項連絡カードの様式がダウンロードできます。母子健康手帳にも様式が記載されているので、それをコピーして使うこともできます。あらかじめ、病院やクリニックで書類を用意しているとことが多いので、診察時に医師や看護師の方に聞いてみるのもいいでしょう。
厚生労働省のホームページ(母性健康管理指導事項連絡カード)

↓母健連絡カードの使用方法の図

■母性健康管理指導事項連絡カードのポイント

母健連絡カードの1枚目の真ん中の「特記事項」の欄に、より具体的な内容を記載します。
例えば、新型コロナウイルス感染症に関する事や、「補食等の関係で適宜休憩時間がほしい」等、できるだけ詳細に記入してもらいましょう。母健連絡カードは、診断書に代わる正式な証明書類となりますので、カードに定められた事項については、遵守しなければなりません。裏面には、症状名等に対して考えられる措置の具体例が書かれていますので、併せて確認しておきましょう。指導内容が不明確な場合は、女性労働者から詳しく話を聞き、不明な点を主治医に確認してもらうようお願いしましょう。それでも不明な点がある場合は、女性労働者を介して主治医等に連絡をとり、判断を求める等の適切な対応が必要です。産業医や産業保健スタッフがいる会社であれば、間に入ってもらうのも有効です。

■まとめ

妊娠中および出産後は身体に様々な変化があり、仕事に影響が出るほか、辛いと感じても申し出ることができず、無理してしまったり、妊娠経過が順調だからと自己判断で頑張りすぎ、体調を崩してしまったりということもあるかもしれません。母健連絡カードは、そのような女性が安心して仕事を続けられるよう作られました。会社は母健健康管理の環境整備として、社内規則の作成、設備等の整備、業務の点検、制度の周知、教育の実施があげられます。汐留社会保険労務士法人では、就業規則の作成や改定から、ハラスメント研修、産前産後育児休業の申請代行も行っておりますのでお気軽にご相談ください.

 

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